ハイドロリリースとは?|肩や腕のしびれ・痛みに対するエコーガイド下注射を整形外科専門医が解説
肩の痛みがなかなか取れない、腕がしびれる、肘から先に違和感がある、手の使いにくさが続く――。このような症状では、筋肉や関節だけでなく、神経の周囲で滑りが悪くなっていることが関係している場合があります。
そのようなときに選択肢となる治療の1つが、ハイドロリリースです。
ハイドロリリースは、エコーで神経や周囲の組織を確認しながら、神経周囲や動きの悪い組織に液体を注入し、癒着や滑走障害の改善を目指す治療です。
当院では、肩の痛みに関連する腋窩神経や肩甲上神経に加えて、尺骨神経、正中神経、橈骨神経などの末梢神経症状に対して行うことがあります。
この記事では、ハイドロリリースとはどのような治療なのか、どのような症状に適応があるのかを、整形外科専門医の立場からわかりやすく解説します。

ハイドロリリースとは?
ハイドロリリースとは、エコーガイド下に神経周囲や癒着した組織の周囲へ液体を注入し、滑走性の改善を目指す治療です。
「注射」と聞くと、痛み止めやステロイド注射をイメージされる方も多いかもしれません。しかし、ハイドロリリースは単なる炎症止めの注射とは少し考え方が異なります。
痛みやしびれの原因が、神経そのものの障害だけでなく、神経の周囲組織との癒着や滑りの悪さにある場合、神経が動くたびに引っ張られたり圧迫されたりして症状が出ることがあります。
ハイドロリリースは、そのような状態に対して、神経周囲の環境を整える目的で行う治療です。
どのような症状に行うのですか?
当院でハイドロリリースを検討するのは、次のような症状です。
-
肩を動かしたときの痛み
-
肩から腕にかけてのしびれや違和感
-
肘の内側や前腕、手にかけてのしびれ
-
手の使いにくさ、だるさ
-
末梢神経の絞扼や滑走障害が疑われる症状
-
リハビリや内服だけでは改善しにくい神経由来の痛み
もちろん、しびれや痛みがあるからといって、すべてがハイドロリリースの適応になるわけではありません。頚椎疾患、腱や関節の障害、炎症性疾患など、他の原因を見極めることが重要です。
ハイドロリリースの流れ
当院では、まず診察で症状の部位、誘発される動作、神経症状の広がり方などを丁寧に確認します。そのうえで、必要に応じてエコーを用いて、
-
神経の走行
-
神経周囲の癒着や滑走不全
-
周囲筋や筋膜の状態
-
圧痛部位との一致
-
関節や腱の異常の有無
などを評価します。
ハイドロリリースを行う際は、エコーで神経や周囲組織を見ながら、安全に配慮して注射を行います。見えない状態で行うのではなく、標的を確認しながら進めることが大切です。
ステロイド注射との違い
ハイドロリリースとステロイド注射は、目的が異なります。
ステロイド注射は、主に炎症を抑えることが目的です。一方、ハイドロリリースは、神経周囲や組織の滑走障害、癒着、動きの悪さを改善することを目的に行います。
そのため、炎症が強い場合にはステロイド注射、神経周囲の滑りの悪さが問題となっている場合にはハイドロリリース、というように病態に応じて使い分けます。
症状によっては複数の要素が重なっていることもあるため、診察と評価が重要です。
リハビリとの併用が重要です
ハイドロリリースは、それ単独で終わる治療ではありません。神経周囲の滑走性が改善しても、姿勢や動作、筋機能の問題が残っていれば、再び症状が出ることがあります。
そのため当院では、必要に応じてリハビリを組み合わせ、
-
肩甲骨や肩関節の動きの改善
-
神経に負担をかける姿勢の修正
-
周囲筋の柔軟性改善
-
再発予防のための運動療法
を行うことが大切だと考えています。
特に肩の痛みでは、腱や滑液包の炎症だけでなく、肩甲骨の動きや神経周囲の状態が複合的に関係していることが少なくありません。そのため、注射だけで完結するのではなく、機能面まで含めて整えていくことが重要です。
ハイドロリリースが向いている方
次のような方では、ハイドロリリースが選択肢になることがあります。
-
肩や腕の痛み・しびれが続いている方
-
末梢神経の症状が疑われる方
-
内服や湿布だけでは改善しない方
-
リハビリをしても神経症状が残る方
-
エコー評価で神経周囲の問題が疑われる方
-
できるだけ手術以外の方法から治療したい方
すべてのしびれや痛みに適応があるわけではありません
大切なのは、ハイドロリリースは万能な治療ではないということです。
しびれや痛みの原因が、
-
頚椎由来なのか
-
神経そのものの強い障害なのか
-
関節や腱の問題なのか
-
神経周囲の滑走障害なのか
によって、適した治療は変わります。
そのため当院では、症状があるからすぐに注射、ではなく、本当にその症状にハイドロリリースが合っているのかを見極めることを大切にしています。
明石市で肩や腕のしびれ・痛みにお悩みの方へ
たちはら整形外科・肩とスポーツのクリニックでは、肩の痛み、腕のしびれ、末梢神経由来の症状に対して、診察、エコー評価、リハビリ、注射治療などを組み合わせながら、病態に応じた治療を行っています。
ハイドロリリースは、腋窩神経、肩甲上神経、尺骨神経、正中神経、橈骨神経などの症状に対して、適切に評価したうえで選択肢となる治療です。
「肩の痛みがなかなか取れない」
「しびれが続いていて原因がはっきりしない」
「神経の問題かもしれないと言われた」
という方は、お気軽にご相談ください。
院長 立原 久義



