肩の痛みや肩こりを自分でケアしよう!|胸まわりを柔らかくするセルフエクササイズを理学療法士が解説
「デスクワークが続くと、首や肩がつらい」
「肩をほぐしても、しばらくするとまたこってしまう」
「肩が痛いし動きも悪くなってきた。五十肩かなぁ」
このようなお悩みはありませんか?
首や肩のつらさには、胸まわりの筋肉の硬さや、肩甲骨の動かしにくさが関係していることがあります。肩をほぐすだけでなく、胸まわりの柔軟性にも目を向けてみましょう。
今回は、ファンクショナルローラーピラティス®(FRP)のインストラクターでもある理学療法士・水島健太郎が、肩の痛みや肩こりのセルフケアに役立つ、胸まわりを柔らかくするエクササイズと、その注意点を解説します。

肩の痛みや肩こりに、なぜ胸まわりの柔軟性が大切なの?
パソコンやスマートフォンを使っていると、腕を体の前に出した姿勢が長く続きがちです。
このとき、肩が前に出て背中が丸まった姿勢になると、胸まわりの筋肉(大胸筋や小胸筋)が縮んだ姿勢が続き、柔軟性が低下することがあります。
これらの筋肉の柔軟性が低下すると、胸郭や肩甲骨の動きが悪くなり、肩を動かす際に、首や肩まわりへ余計な力が入りやすくなる場合があります。
そこで今回ご紹介するのが、ローラーを使って胸まわりをゆっくり伸ばすセルフエクササイズです。
ファンクショナルローラーピラティス(FRP)とは?
ファンクショナルローラーピラティス®(FRP)は、理学療法士が考案した、フォームローラーとマットを使うピラティスメソッドです。解剖学や運動学に基づき、体の動きや筋肉の使い方に取り組みます。
今回ご紹介する運動では、ローラーで体を支えながら、胸まわりを伸ばしていきます。ローラーを横向きに置く方法と、背骨に沿って縦向きに置く方法を見ていきましょう。
始める前に確認したいこと
大切なのは、痛みを我慢せず、胸まわりが心地よく伸びる範囲で行うことです。
- 安定した床にマットを敷き、ローラーが滑らない場所で行いましょう。
- 息を止めず、ゆっくり呼吸しましょう。
- 頭・肘・手を床につけようと、無理に押し下げないでください。
- 痛みが強くなる、新たな痛みやしびれ、めまいが出る場合は中止してください。
首や肩の病気で治療中の方、背骨の骨折歴や骨粗鬆症がある方は、始める前に医師や理学療法士へ相談してください。
エクササイズ① ローラーを横に置いて胸を開く
背中の上部をローラーで支え、胸まわりをゆっくり伸ばす運動です。
やり方
- ローラーを体に対して横向きに置き、肩甲骨の下あたりに当てます。
- 両膝を立て、足の裏を床につけます。
- 両手で後頭部を支えます。
- 頭を手で支えたまま、胸まわりが軽く伸びる範囲で、ゆっくり上体を後ろへ傾けます。
- 呼吸を続け、ゆっくり元の姿勢に戻ります。
上手に行うポイント
頭を床につける必要はありません。首や腰を大きく反らせず、胸まわりが心地よく伸びるところで止めましょう。
大きく動かそうとすると、胸まわりよりも首や腰に負担がかかる場合があります。まずは小さな動きから始めてください。
首に力が入る、腰が痛くなる場合は、動きを小さくしましょう。それでもつらい場合は中止してください。
エクササイズ② ローラーを縦に置いて胸を開く
ローラーの上で仰向けになり、腕を広げて胸の前を伸ばす運動です。
やり方
- 頭から骨盤までを支えられる長さのローラーを、背骨に沿って縦向きに置きます。
- 体が左右に倒れないように注意しながら、ゆっくり仰向けになります。
- 両膝を立て、足を安定する幅に開きます。
- 肩をすくめず、腕を無理のない位置へゆっくり広げます。
- 胸の前が軽く伸びるところで、ゆったり呼吸します。
上手に行うポイント
肘や手の甲が床につかなくても構いません。腕の重さを利用しながら、無理のない範囲で胸を開きましょう。
肩の前が詰まる、腕を広げると痛む場合は、腕の位置を低くするなど、負担の少ない位置に調整してください。
ローラーの上で安定できない方や、乗り降りに不安がある方は、一人で無理に行わず、理学療法士に方法を確認しましょう。
胸を柔らかくしたら、肩甲骨の動きにも注目しましょう
肩甲骨は、腕を上げたり下ろしたりする動きに合わせて、背中の上を動いています。
胸まわりの柔軟性とともに、肩甲骨が動くことも、肩を無理なく使ううえで大切です。
ただし、姿勢を良くしようとして、肩甲骨を強く寄せ続ける必要はありません。胸を張りすぎると、首や腰に余計な力が入ることがあります。
エクササイズの後は、痛みのない範囲で腕をゆっくり動かし、肩をすくめたり、腰を反らせたりしていないか確認してみましょう。
「良い姿勢を意識するほど疲れる」「肩を動かすと力んでしまう」という方は、理学療法士と一緒に体の使い方を確認することも役立ちます。
日常生活でも、同じ姿勢を続けない工夫を
セルフエクササイズに加えて、普段の過ごし方も見直してみましょう。
デスクワークに集中すると、気づかないうちに肩がすくんだり、顔が画面へ近づいたりすることがあります。
作業の合間に姿勢を変える、立ち上がる、痛みのない範囲で肩を動かすなど、こまめに体を動かす機会をつくりましょう。
画面の高さやキーボードの位置を調整し、肩に力を入れずに作業できる環境を整えることも大切です。
自分に合った運動を学びたい方へ|当院のピラティス教室
「一人で行うと、やり方が合っているか不安」
「自分の姿勢や体の使い方を知りたい」
そのような方に向けて、当院ではピラティス教室を開催しています。
理学療法士の資格を持つピラティスインストラクターが、体の状態に合わせた運動を指導します。フォームローラーを使い、ご自宅でのセルフケアにも取り入れやすい内容に取り組んでいます。
当院の受診歴がない方も参加できます。開催日時や料金、お申し込み方法は、下記のページをご覧ください。
なお、痛みが強い方や、運動してよいか判断に迷う方は、教室への参加前に診察でご相談ください。
このような症状は、セルフケアだけで様子を見ずに受診を
肩の痛みや肩こりには、首の神経や肩関節の病気などが関係していることがあります。
次のような場合は、自己判断で運動を続けず、整形外科で原因を確認しましょう。
- 腕や手のしびれ、力の入りにくさがある
- 肩が痛くて腕を上げにくい
- 夜間や安静時にも痛みが強い
- 転倒やけがの後から痛みがある
- 症状が長引く、または徐々に悪化している
セルフケアを続けても改善しない場合は、運動を強くしたり、回数を増やしたりする前に相談してください。
肩の痛みや肩こりでお悩みの方へ
胸まわりを柔らかくするエクササイズは、肩の痛みや肩こりに対するセルフケアの選択肢の一つです。
大切なのは、痛みを我慢せず、自分に合った方法で取り組むこと。床に手や頭をつけることよりも、心地よく胸を開き、無理なく呼吸できることを意識しましょう。
明石市のたちはら整形外科・肩とスポーツのクリニックでは、肩の痛みや肩こりについて、診察や必要な検査を行い、状態に応じてリハビリテーションにつなげています。
「自分に合う運動を知りたい」「肩こりだと思っていたけれど、痛みが続いている」という方は、お気軽にご相談ください。
参考情報
執筆:理学療法士 水島 健太郎
監修:医師 立原久義(たちはら整形外科・肩とスポーツのクリニック 院長)



