筋肉をつけるために大切な食事とは?タンパク質・脂質・炭水化物のバランスを理学療法士が解説
筋肉をつけるためには、運動やトレーニングが大切です。
しかし、実はそれと同じくらい、あるいはそれ以上に大切なのが食事です。
リハビリや筋力トレーニングを頑張っていても、体に必要な栄養が不足していると、筋肉はなかなか増えません。
特に、けがの後のリハビリ中の方、スポーツ復帰を目指す方、膝や腰の痛みを改善したい方、高齢になって筋力低下が気になる方にとって、食事管理はとても重要です。
当ブログでは、リハビリや運動に加えて、筋肉づくりに欠かせない食事や栄養についてもわかりやすくお伝えしています。

体重を減らしたい場合・増やしたい場合の基本
まず大前提として、体重は摂取カロリーと消費カロリーのバランスで変化します。
体重を減らしたい場合は、摂取カロリーよりも消費カロリーを多くする必要があります。
反対に、体重や筋肉量を増やしたい場合は、消費カロリーよりも摂取カロリーを多くする必要があります。
ただし、単に食事量を増やせばよいわけではありません。
筋肉をつけるためには、必要な栄養素をバランスよく摂ることが大切です。
PFCバランスとは?
食事管理を考えるときに、よく聞く言葉にPFCバランスがあります。
PFCバランスとは、エネルギーをつくる栄養素である、
- P:タンパク質
- F:脂質
- C:炭水化物
の3つを、どのくらいの割合で摂取するかという考え方です。
栄養素の考え方については、厚生労働省の日本人の食事摂取基準も参考になります。厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書を公表しています。
タンパク質の役割
タンパク質は、筋肉をつくるうえで特に重要な栄養素です。
主な役割は以下の通りです。
- ・筋肉の修復と成長
- ・免疫機能の維持
- ・ホルモンや酵素の材料になる
運動やリハビリで筋肉に刺激を入れたあと、体は筋肉を修復しようとします。
そのときに材料となるのがタンパク質です。
そのため、筋力トレーニングやリハビリをしている方は、タンパク質が不足しないように意識する必要があります。
脂質の役割
脂質は「太る原因」と思われがちですが、体にとって必要な栄養素です。
主な役割は以下の通りです。
- ・細胞膜の材料になる
- ・ホルモンの材料になる
- ・脂溶性ビタミンの吸収を助ける
- ・エネルギー源になる
ただし、脂質の摂りすぎは、脂質異常症や動脈硬化など生活習慣病のリスクにつながることがあります。
減らしすぎも摂りすぎもよくないため、質と量を意識することが大切です。
炭水化物の役割
炭水化物は、体を動かすための主要なエネルギー源です。
特に、脳・神経・赤血球などはブドウ糖をエネルギーとして利用します。
また、運動時にも炭水化物は重要なエネルギー源になります。
ダイエット目的で炭水化物を極端に減らす方もいますが、炭水化物が不足すると、運動のパフォーマンスが落ちたり、疲れやすくなったりすることがあります。
筋肉をつけるためには、タンパク質だけでなく、炭水化物もしっかり摂ることが大切です。
どのくらい食べればいいの?
必要な量は、年齢・体重・運動量・目的によって変わります。
あくまで目安ですが、筋肉をつけたい方や運動習慣がある方では、以下のような摂取量が参考になります。
1日の目安
- ・タンパク質:体重 × 1.6〜2.2g
- ・脂質:体重 × 0.8〜1.0g
例えば、体重60kgの方であれば、タンパク質は1日あたり約96〜132gが目安になります。
ただし、腎臓病など持病がある方は、タンパク質の摂取量に注意が必要な場合があります。
不安がある方は、医師や管理栄養士に相談してください。
1回の食事での目安
1回の食事での目安は以下の通りです。
- ・タンパク質:20〜40g
- ・脂質:10〜20g
- ・炭水化物:60〜120g
脂質や炭水化物には、タンパク質のような明確な「1回あたりの吸収上限」はありません。
しかし、過剰に摂りすぎると、脂質異常症・高血圧・高血糖・動脈硬化など、生活習慣病に影響する可能性があります。
大切なのは、1回でたくさん摂ることではなく、1日を通してバランスよく摂ることです。
よくある失敗
女性に多い失敗:極端に減らしすぎる
女性に多い失敗として、ダイエット目的で食事量を極端に減らしてしまうことがあります。
特に、炭水化物を極端に減らしてしまう方が多いです。
しかし、炭水化物は運動するための大切なエネルギー源です。
エネルギー不足の状態では、筋肉をつけるどころか、筋肉が落ちやすくなることもあります。
高齢者に多い失敗:食べる量そのものが少ない
高齢者では、食欲の低下や食事量の減少により、必要な栄養が不足していることがあります。
筋力低下やフレイル予防のためには、運動だけでなく、タンパク質・ビタミンD・カルシウムなどを意識した食事が重要です。
高齢者の栄養については、公益財団法人長寿科学振興財団が運営する健康長寿ネットのフレイルと栄養でも解説されています。高齢者のフレイル予防では、ビタミンD、カルシウム、タンパク質に含まれる分岐鎖アミノ酸などが重要とされています。
「年齢のせいで筋肉が落ちた」と思っていても、実際には食事量やタンパク質不足が関係していることもあります。
膝の痛みや腰痛、加齢による筋力低下が気になる方は、自己流の運動だけでなく、整形外科で原因を確認しながら進めることも大切です。
当院の一般整形外科では、膝痛・腰痛・骨粗鬆症など、幅広い運動器の症状に対応しています。
タンパク質はこまめに分けて摂るのがおすすめ
筋肉をつけるためには、タンパク質を1回の食事でまとめて摂るよりも、こまめに分けて摂ることが望ましいです。
例えば、
- ・朝食
- ・昼食
- ・夕食
- ・間食
- ・運動後
- ・就寝前
などに分けて、1日の中で不足しないように摂ることがポイントです。
朝食を抜いている方や、昼食が炭水化物中心になっている方は、まずは毎食タンパク質を入れることから始めてみましょう。
おすすめの食品
タンパク質を多く含む食品
- ・鶏肉
- ・豚肉や牛肉のモモ肉
- ・納豆
- ・サケ
- ・サバ
- ・卵
- ・ヨーグルト
- ・ブロッコリー
肉・魚・卵・大豆製品・乳製品を組み合わせることで、タンパク質を摂りやすくなります。
良質な脂質を含む食品
- ・アボカド
- ・魚
- ・ナッツ
- ・オリーブオイル
- ・チアシード
脂質は量だけでなく、質も大切です。
揚げ物や加工食品に偏らず、魚やナッツ、オリーブオイルなどを上手に取り入れましょう。
炭水化物としておすすめの食品
- ・玄米
- ・ライ麦パン
- ・全粒粉パン
- ・サツマイモ
- ・そば
炭水化物は、白米やパンだけでなく、食物繊維を含む食品を選ぶのもおすすめです。
ただし、体質に合わない食品もあります。
ここで挙げた食品がすべての方に合うわけではないため、ご自身の体調を見ながら取り入れてください。
スポーツ復帰や肩のリハビリにも、栄養は大切です
スポーツ復帰や競技パフォーマンスの改善を目指す方にとって、筋力トレーニングと食事管理はどちらも大切です。
当院のスポーツ整形外科では、スポーツによる痛みやけがに対して、医師の診断と理学療法士によるリハビリテーションを組み合わせて、競技復帰をサポートしています。
また、肩の痛みや手術後の筋力低下がある方では、肩まわりの筋肉を適切に働かせるためのリハビリが重要です。
当院の肩の整形外科では、肩関節疾患に対して専門的な診察とリハビリを行っています。
リハビリの効果を高めるためにも、運動だけでなく、タンパク質や炭水化物などの栄養を意識することが大切です。
筋肉をつけるには「運動」と「食事」の両方が大切です
筋肉をつけるためには、運動だけでも、食事だけでも不十分です。
リハビリや筋力トレーニングで筋肉に適切な刺激を入れ、食事で必要な栄養を補うことで、筋肉はつきやすくなります。
「筋力をつけたい」
「けがからスポーツ復帰したい」
「膝や腰の痛みを改善したい」
「年齢とともに筋肉が落ちてきた気がする」
このようなお悩みがある方は、運動方法だけでなく、食事や生活習慣も見直していくことが大切です。
筋力低下や運動時の痛みでお困りの方は、無理に自己流で運動を続けず、一度ご相談ください。
初めて受診される方は、ご来院の方へのページをご確認ください。予約はWEB予約からも可能です。
執筆:理学療法士 田畑 篤人
監修:医師 立原久義(たちはら整形外科・肩とスポーツのクリニック 院長)
筋力をつけたい人に対して、整形外科専門医と理学療法士が連携し、リハビリや栄養指導を行っています。



